トランスジャパンアルプスレースは日本で最も過酷な大会である。
(Trans Japan Alps Raceの略称がTJAR)
北中央南アルプスを駆け抜ける選手たちをTJAR戦士と呼ぶ。
TJAR(Trans Japan Alps Race)は415km走る大会
TJARは北中央南アルプスの415kmを走る大会で、2012年から開催されている。
2年に1度の開催で、制限時間は8日間(192時間)だ。
参加費33000円で、定員が30名。
TJARに優勝賞金はない。だが、優勝すればニュースや雑誌で取り上げられ、有名になる。
毎年6月に選考会が開催され、8月が本番(大会開催日)となる。
大会当日の21時、富山県魚津市ミラージュランドで開会式が行わる。
そして深夜0時にスタート(日本海/富山県魚津市・早月川河口)
ゴールは太平洋「静岡県静岡市・大浜海岸」だ。
8日間でのゴールを求められるものの、予備日が1日設定されている。
単純に富山県から静岡県まで走ると考えただけでも大変だ。
TJAR戦士は定員30名!参加資格(審査基準)と抽選は?
TJARに参加するのは楽じゃない。厳しい審査を通過する必要がある。
審査基準をわかりやすくすると以下のようになる(TJAR2026の参加要件を抜粋)
- 70km以上のトレイルランニングレースを完走している
- 過去標高2,000m以上の場所(北海道は標高1,500m以上)で10泊以上のキャンプ経験がある
- フルマラソンを3時間20分以内に完走(ネットタイム)
- ウルトラマラソン100kmを10時間30分以内に完走
- 定員を超えた場合は抽選(二次抽選)となる。
70kmのトレイルランニング大会を完走するのは当然だ。じゃないと415kmなんて走れない。
10泊以上のキャンプ経験は会社員だと休みが取れない。そもそもTJARのトレーニング時間を捻出するのが大変だ。
フルマラソン3時間20分、ウルトラマラソン10時間30分を完走するのはかなり難しい(どちらかで良い)
参加できるのは30人だから定員に達すると抽選になる。
TJAR戦士は北中央南アルプスを走る!415km・累積標高差27000m
TJARのコースは以下の通り。
- 早月川河口(スタート)-馬場島
- 北アルプス(剱岳-薬師岳-槍ヶ岳山荘-上高地)
- 上高地-薮原駅-旧木曽駒高原スキー場
- 中央アルプス (木曽駒ケ岳-空木岳)
- 駒ヶ根高原-市野瀬
- 南アルプス(仙丈ヶ岳-塩見岳-赤石岳-聖岳)
- 井川ダム-富士見峠-静岡駅-大浜海岸(ゴール)
距離 約415km・累積標高差 約27000m
富士山の標高は3776m
日本のトレイルランニング大会でも累積標高は6500m前後。
いかにTJARが起伏の激しいコースか数字でわかる。
なお、チェックポイントを通過すれば良いので、どこを走るかはTJAR戦士の自由。
なので、TJAR選手たちは自分に最適なコースを選ぶのも作戦のうち。
TJAR戦士は日本百名山に登る?山小屋で食事できる?
TJAR(トランスジャパンアルプスレース)で通過する日本百名山は以下の通り。
※選手によっては通過しない。
北アルプス
- 剱岳(つるぎだけ)一部選手は早月尾根で通過
- 立山(たてやま)室堂経由で通過
- 薬師岳(やくしだけ)主稜線を南下
- 黒部五郎岳近くを通過
- 鷲羽岳(わしばだけ)
- 三俣蓮華岳・双六岳方面へ抜ける
- 槍ヶ岳(やりがたけ)山頂は巻くがすぐ横を通過
- 穂高岳(ほたかだけ)
- 北穂〜南岳〜大キレット〜槍ヶ岳
中央アルプス
- 木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)主稜線縦走
南アルプス
- 仙丈ヶ岳(せんじょうがたけ)藪沢新道〜小仙丈〜山頂経由
- 間ノ岳(あいのだけ)北岳と農鳥岳の間
- 北岳(きただけ)日本第2位の高峰
- 農鳥岳(のうとりだけ)白峰三山の一つ
- 聖岳(ひじりだけ)日本アルプス最南部の百名山
かつてのTJARは山小屋から提供された食事で補給できた。
だが、2018年に望月将悟が無補給で完走したため、2021年大会から山小屋で食料を買えなくなった。
山小屋での食事しなくても完走できると判断されたのだ。
(2021年の大会は中止なので、2022年に開催された)
だから2022年以降のTJAR戦士はザック(リュックサック・バックパック)が大きくなっている。
登山・トレイルランニング用品は日々、進化して軽量化されるが、水と食料はそう簡単に削減(軽量化)できない。
JTAR選手によっては衣類や装備品の商品タグを切って軽量化している。
TJAR戦士はフルマラソン3時間30分、ウルトラマラソン10時間30分
このようにTJARに出走するのはとても難しい。さらに完走するのは困難。
フルマラソンを3時間20分内に完走するだけでも困難。
定員30人で、参加費33000円。優勝しても賞金はない。
チェックポイントを通過すれば、どこを走ろうが自由。
チェックポイントには制限時間があるし、8日内にゴールする必要がある。
山小屋で食事提供は受けられないので、食料は自分で運ぶ必要がある。
この過酷なTJARに参加しただけでも超人なのだ。
TJARの歴代優勝者とゴール時間!望月将悟と土井陵が連覇達成
望月将悟や土井陵など、JTARの優勝者は消防士が多い。
優勝者に自衛隊がいてもおかしくないんだが。
年度 | 優勝者 | 所要タイム |
---|---|---|
2002年 | 岩瀬幹生 | 約7日5時間7分 |
2004年 | 田中雅人 | 約6日2時間0分 |
2006年 | 真世千賀也(女性優勝者) | 約7日10時間48分 |
2008年 | 田中雅人 | 約5日10時間32分 |
2010年 | 望月将悟 | 約5日5時間22分 |
2012年 | 望月将悟 | 約5日6時間24分 |
2014年 | 望月将悟 | 約5日12時間57分(台風で延長) |
2016年 | 望月将悟 | 約4日23時間52分(大会最速) |
2018年 | 海藤幸佑 | 約6日1時間22分 |
2022年 | 土井陵 | 約4日17時間33分(大会新記録) |
2024年 | 土井陵 | 約5日1時間26分(2連覇) |
2020年はコロナで中止、2021年に開催を試みたが悪天候で中止。
中止になるまで土井陵選手のの独走状態だった。
TJARの歴史は以下の通り。
- 2002年の初大会は参加者4名中完走1名という大会だったが、今では30名が出場するようになった。
- 2004年 参加者9名 完走6名
- 2006年 参加者6名 完走2名
- 2008年 参加者20名 完走15名
- 2010年 参加者23名 完走15名
- 望月将悟はTJARを4連覇し、当時の最速記録だった。
- 土井陵選手が2022年と2024年と連覇を果たした(大会最速)
4日間と17時間で完走するなんて凄すぎる!俺なら1ヶ月でも完走できるかわからん。
次回のTJARは誰が優勝するのか?今から楽しみだ。
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