トレイルランニングとはちょっと異なるスカイランニング。
スカイランニングとは何なのか?この記事を読めばよくわかる。
スカイランニングのバーティカルとは?トレイルランとの違い
スカイランニング(Skyrunning)は山を走る点ではトレイルランニングと同じ。
ではどこが違うのか?
🌄 スカイランニングの定義
国際スカイランニング連盟(ISF: International Skyrunning Federation)によると
「標高2,000m以上の山岳地帯を中心に傾斜12%以上、登りの一部では30%以上に達するようなコースを走る競技」 とされている。
高度・傾斜・地形の厳しさを強調している。
わかりやすく言うと標高の高い場所を一気に駆け上がる。「登坂力」が求められるスポーツだ。
スカイランニングのバーティカルは種目名!スカイレースとウルトラ
🏃♂️ 種類(カテゴリー)
ISFが定める主な競技カテゴリー:
- Vertical Kilometer®(バーティカル・キロメーター)
→ 累積標高差1,000mを「最短距離」で登る。距離は2〜5km程度。 - SkyRace®(スカイレース)
→ 距離20〜30km前後、標高差2,000m以上。テクニカルで岩稜帯も多い。 - SkyUltra®(スカイウルトラ)
→ 距離50km以上、標高差3,000m以上。スカイレースをさらに長距離化。
🌍 歴史と背景
1990年代にイタリアの登山家 マリーノ・ジャコメッティ
(Marino Giacometti) が「走って山に登る」概念を提唱し、アルプスで大会を始めたのが起源。
その後、ヨーロッパを中心に競技が広がり、現在は「Skyrunner World Series」という年間シリーズ戦が開催されている。
スカイランナーワールドシリーズはスカイランニングの世界最高峰
「Skyrunner World Series(スカイランナー・ワールドシリーズ)」は
(略して SWS と呼ばれる)
🏔 Skyrunner World Series(SWS)とは
国際スカイランニング連盟(ISF) が主催するスカイランニングの世界最高峰シリーズ。
世界各地で開催される SkyRace®(スカイレース) を年間で転戦し、最終的にランキング上位を競います。
2002年にスタートし、現在ではヨーロッパを中心に北米・アジアなども加わった国際シリーズに発展。
📊 仕組み
年間を通じて10〜15戦前後の大会がカレンダーに組み込まれる。
選手は出場した大会で獲得したポイントの ベスト数戦(例:4戦〜5戦) がランキングに反映される。
年末の「SkyMasters」と呼ばれる決勝大会もあり、ここでの結果はランキングに大きな影響を与える。
スカイランナーワールドシリーズとUTMBワールドシリーズの違い
🏆 レースの特徴
距離はおおむね 20〜35km が中心(SkyRace®)
累積標高差は2,000m前後。
「トレイルラン」よりも距離は短いが、急登を登るコースが多い。
🌍 有名な大会例
Zegama-Aizkorri Marathon(スペイン)
→ スカイランニングの聖地とも呼ばれる人気大会。
Dolomyths Run(イタリア・ドロミテ)
Matterhorn Ultraks(スイス)
Gorbeia Suzien(スペイン)
Limone Xtreme(イタリア)
日本でSkyrunner World Series(SWS)の大会はないが、韓国では10月に開催されている。
👉 まとめると
トレイルランニングに「UTMB World Series」があるように
スカイランニング界には「Skyrunner World Series」がある
ロードバイクで例えるならヒルクライムだな。
UTMBについては下の記事に書いた。
🏆 Skyrunner World Series 歴代王者(2002–2024)
2002年から2024年までのSkyrunner World Series
(スカイランナー・ワールドシリーズ)の男女優勝者
年 | 男子 | 女子 |
---|---|---|
2002 | Agustí Roc Amador | Corinne Favre |
2003 | Agustí Roc Amador | Teresa Forn |
2004 | Agustí Roc Amador | Anna Serra |
2005 | Rob Jebb | Corinne Favre |
2006 | Ricardo Mejía | Angela Mudge |
2007 | Kílian Jornet | Angela Mudge |
2008 | Kílian Jornet | Corinne Favre |
2009 | Kílian Jornet | Emanuela Brizio |
2010 | Tòfol Castañer | Emanuela Brizio |
2011 | Luis Alberto Hernando | Oihana Kortazar |
2012 | Kílian Jornet | Emelie Forsberg |
2013 | Kílian Jornet | Stevie Kremer |
2014 | Kílian Jornet | Stevie Kremer |
2015 | Tadei Pivk | Laura Orgué |
2016 | Tadei Pivk | Megan Kimmel |
2017 | Bhim Gurung | Laura Orgué |
2018 | Kilian Jornet | Holly Page |
2019 | Ruy Ueda(上田瑠偉・日本) | Sheila Avilés |
2020 | ―(COVID-19により中止) | ― |
2021 | Christian Mathys | Denisa Dragomir |
2022 | Nicolás Molina Augustín | Lindsay Webster |
2023 | Antonio Martínez Pérez | Clémentine Geoffray |
2024 | Roberto Delorenzi | Anastasia Roubtsova |
- 最多優勝者はやはり Kílian Jornet(男子、2007~2014で6度の王者)。
- 女子は Corinne Favre、Emanuela Brizio、Stevie Kremer、近年では Sheila Avilés など多様な選手が活躍。
- 2019年 上田瑠偉選手が日本人として初のシリーズ総合優勝。
- 2020年はコロナ禍のためシリーズ全体が中止。
2019年の上田瑠偉選手は日本人として初のシリーズ総合優勝という偉業を達成!
最終戦「SkyMasters」でわずか12秒差で優勝を決めた。
スカイランナーワールドシリーズで日本人の上田瑠偉が優勝!
Skyrunner World Series(SWS)は2002年に始まった。
山岳スキルとスピードを兼ね備えた世界トップランナーを競うシリーズ。
その歴代王者たちはまさにスカイランニング界のレジェンドばかり。
- 初期(2002–2015):Agustí RocやKílian Jornetなど名だたる選手たちが多数優勝。
- 近年(2019–2024):上田瑠偉選手(日本人初)や、Christian Mathys、Nicolás Molina などがシリーズ王者に。
トレイルランニングで強い選手はスカイランニングでも強い。
今後の日本人選手の活躍に期待する。
🏆 男子歴代優勝回数ランキング(2002–2024)
2002〜2024年の Skyrunner World Series 歴代王者を「優勝回数順」に整した。
選手名 | 国籍 | 優勝年 | 優勝回数 |
---|---|---|---|
Kílian Jornet | スペイン | 2007, 2008, 2009, 2012, 2013, 2014, 2018 | 7回 |
Agustí Roc Amador | スペイン | 2002, 2003, 2004 | 3回 |
Tadei Pivk | イタリア | 2015, 2016 | 2回 |
(その他単発優勝) | Rob Jebb (2005), Ricardo Mejía (2006), Tòfol Castañer (2010), Luis Alberto Hernando (2011), Bhim Gurung (2017), Ruy Ueda 上田瑠偉(2019, 日本), Christian Mathys (2021), Nicolás Molina (2022), Antonio Martínez (2023), Roberto Delorenzi (2024) | 各1回 |
- 最多優勝者:
- 男子 → Kílian Jornet(7回)
- 女子 → Corinne Favre(3回)
- 日本人王者 → 上田瑠偉(2019年)男子総合優勝
UTMBを4度優勝したKílian Jornetが7回も優勝してる。スカイランニングでも強さは変わらない。
🏆 女子歴代優勝回数ランキング(2002–2024)
選手名 | 国籍 | 優勝年 | 優勝回数 |
---|---|---|---|
Corinne Favre | フランス | 2002, 2005, 2008 | 3回 |
Angela Mudge | イギリス | 2006, 2007 | 2回 |
Emanuela Brizio | イタリア | 2009, 2010 | 2回 |
Stevie Kremer | アメリカ | 2013, 2014 | 2回 |
Laura Orgué | スペイン | 2015, 2017 | 2回 |
(単発優勝) | Teresa Forn (2003), Anna Serra (2004), Oihana Kortazar (2011), Emelie Forsberg (2012), Megan Kimmel (2016), Holly Page (2018), Sheila Avilés (2019), Denisa Dragomir (2021), Lindsay Webster (2022), Clémentine Geoffray (2023), Anastasia Roubtsova (2024) | 各1回 |
日本で開催されるスカイランニング大会一覧
🇯🇵 日本のスカイランニングは日本スカイランニング協会(JSA)が統括。
開催日 | 開催地 | 大会名 |
---|---|---|
2月2日 | 徳島県 | 津峯神社参道競走 |
2月16日 | 大阪府 | ツイン21MIDステアクライミングチャレンジ |
2月23日 | 長野県 | 菅平スノーランニング |
3月2日 | 高知県 | 鷹羽ヶ森スカイレース |
3月8日 | 新潟県 | 八海山スカイスノー |
3月15日 | 香川県 | 高松シンボルタワース テアクライミングチャレンジ |
4月5-6日 | 群馬県 | 嬬恋スカイラン SKYSNOW |
5月3-4日 | 長野県 | 上田バーティカルレース |
5月18日 | 広島県 | SAIOTO COLORS ~Green Ver.~ |
5月18日 | 徳島県 | 祖谷スカイラン |
5月24日 | 愛知県 | 中部電力MIRAI TOWER ステアクライミングチャレンジ |
5月24日 | 長野県 | 経ヶ岳バーティカルリミット |
6月15日 | 北海道 | Sapporoテイネトレイル |
7月13日 | 群馬県 | THE岩櫃城忍び登山 |
7月25日 | 山梨県 | 富士登山競走 |
8月16-17日 | 群馬県 | 嬬恋スカイラン |
9月14日 | 群馬県 | やんばスカイラン |
9月14日 | 北海道 | 和寒東山スキー場ヒルクライムレース |
10月4日 | 滋賀県 | 比良びわ湖ビュートレイルラン |
10月5日 | 岡山県 | 奥津泉山スカイレース |
10月11-12日 | 長野県 | 烏帽子スカイラン |
10月19日 | 長野県 | 志賀高原エクストリームトレイル |
11月2日 | 新潟県 | 魚沼スカイラン |
11月2日 | 広島県 | SAIOTO COLLARS |
11月9日 | 愛媛県 | 四国中央スカイラン |
今季中止 | 滋賀県 | びわ湖バレイスカイラン |
12月13日 | 群馬県 | 吾妻山登山競走 |
1月を除いて毎月スカイランニング大会がある。
スカイランニングの「全日本選手権」で国内最強ランナーを決める!
「全日本選手権」とは、各スポーツや競技において 日本国内のトップレベルの競技者を決定する公式大会 のことを指す。
- 主催・主管
- 日本スカイランニング協会(JSA)が主催・公認。
- 国内のスカイランニング競技の公式戦として位置づけられる。
- 目的
- 日本国内でのスカイランニングチャンピオンを決定する。
- 日本代表選手選考の参考になる場合もある。
- 大会の特徴
- 例:志賀高原エクストリームトレイル、魚沼スカイランなどが全日本選手権として開催。
- 距離や累積標高は大会によって異なるが、一般的に本格的な山岳コースで競われる。
- 年齢や性別ごとにカテゴリーが分かれることが多い。
- 参加資格
- 基本的に JSA登録者(会員)であれば参加可能。
- 過去の成績によって招待や上位カテゴリー参加の制限がある。
- 公式戦との違い
- 「公式戦」はシリーズ戦やランキング対象大会を広く指す。
- 「全日本選手権」はその中でも日本王者を決める大会(セミプロ?)
スカイランニング公式戦が趣味ランナーが走るなら日本選手権はセミプロ並みの実力者が出場する大会。
2025年のJSA全日本選手権として開催される大会一覧
開催日 | 開催地 | 大会名 |
---|---|---|
2月16日 | 大阪府 | ツイン21MIDステアクライミングチャレンジ |
4月5-6日 | 群馬県 | 嬬恋スカイラン SKYSNOW |
10月19日 | 長野県 | 志賀高原エクストリームトレイル |
11月2日 | 新潟県 | 魚沼スカイラン |
マスターズ・スカイランニング世界選手権で宮坂康子さんが優勝!
長野県諏訪市高島在住の宮坂康子さん(59)は「第3回マスターズ・スカイランニング世界選手権2025」に出場した。
宮坂康子さんは2025年9月3~5日に東欧のブルガリア共和国・バルカン山脈で行われた日本代表として初出場。
世界23カ国から延べ281人がエントリーした。
日本代表選手団は男女計19人(男性16、女性3)、うち県内勢は3人。
宮坂さんがランニングを始めたきっかけは地元の諏訪湖マラソン。
「お母さんが必死な表情を見たことがない」という子どもたちの言葉に奮起して45歳の時に出場した。
その後本格的に練習を始め、1年後には各地で開催の100キロウルトラマラソンを転戦した。
疲労による足や腕の骨折も乗り越えて走りを楽しんでいる。
昨年は同協会が開くスカイランナー日本シリーズの総合3位だった。
また、岡田裕也さん(安曇野市)が「スカイウルトラ」の45歳以上の部で優勝し、2連覇を果たした。
日本選手団の成績は優勝3人・準優勝1人・3位3人国別団体で銀メダルを獲得した。
スカイランニングとトレイルランニングの違いまとめ
スカイランニングは日本スカイランニング協会(JSA)の一般大会と全日本選手権がある。
一般の大会は趣味のスカイランナーが参加し、日本選手権はプロ級の選手が参加する。
スカイランは距離は短いが激坂を走る登攀力が必要。
トレイルランニングは距離は長いものの、激坂は歩いて登る。
あなたはスカイランとトレイルラン、どちらが好み?
少しでも興味あるなら大会に出ようぜ。タイツがあると疲労軽減になるぞ!
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